My Serbia(マイセルビア)

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私のサルマ物語 〜キセリクプス編〜

【文/古賀 亜希子】

私にとって、忘れられない食べ物のひとつが「サルマ」(Sarma)です。

セルビアのロールキャベツです。ただし、発酵キャベツを使います(ぶどうの葉やスイバ、ルバーブなど、いろいろな葉で挽き肉を巻く料理です)。

ベオグラードの南西にある「アリリェ」(Arilje)という街で、友人夫妻の家族が経営している民宿に泊まった時のこと。大自然に囲まれた山奥で、お母さん手作りの料理を味わいながら、セルビアの田舎を体験できます。ラズベリーの収穫をお手伝いしたり、近所の自然を楽しんだり、本当に素敵なところでした。そして、お母さんが料理上手だということは東京でも噂になっていたのですが、ここで食べた手作りのサルマが本当に美味しかった!美味しすぎて、私は5つも6つも食べてしまい、皆を驚かせてしまいました。私は、この日からサルマのとりこに。

アリリェの民宿で食べたサルマ

そして、Tiki’s kitchenでゲストにお迎えしたグルーヤさんが、サルマの作り方を披露してくれるというので、私はこの日の撮影をずっと楽しみにしていました。

日本の家庭料理と同じで、サルマといっても様々なレシピが存在します。グルーヤさんのサルマには、隠し味としてくるみが入っていました。コクが出るのだそう。この日食べたサルマもとっても美味しくて、撮影の日に私は自分でも作ってみようと決意しました。

ただし、サルマはセルビア料理の中でも、なかなか難易度の高い料理です。いくつもの工程を経て、やっとおいしい料理となるわけです。

なんといっても、発酵キャベツ「キセリクプス」(kiseli kupus)を作らなければなりません。漬物を漬けた経験のない私に、できるのでしょうか。でも、私は思い出のサルマをなんとか食べたくて、挑戦してみることにしました。

まず、100円ショップで蓋付きのバケツを買うことから始まりました。幸い、キャベツ1個分にちょうど良い大きさのバケツが見つかりました。煮沸消毒をします。

100円ショップで買った容器

キャベツの芯をくり抜きます。その穴を塩で埋めます。穴を下にして、バケツに入れて、キャベツがひたひたになるくらい水を入れ、さらにキャベツの重さに対して3パーセントの塩をふりかけます。だいたいキャベツ1玉が1キロということで、私は30グラムの塩を入れました。キャベツの上に重石を置いて、蓋をします。これから3週間、ベランダで寝かせることになります。どきどき。

芯をくり抜いて塩を入れます
お皿やどんぶりのふたを重しに使いました

噂には聞いていましたが、3日くらい経つと、異臭がしてきます。蓋を開けると、水がほんのり乳白色に。発酵しているサインとはいえ、なんとも不安になる香りです。1週間経った頃から2週間目くらいまでが、匂いがきつく、異臭騒ぎにならないかと心配しました。3週間経った頃、なんとなく匂いがおさまってきます。蓋を開けてみると、キャベツがいい色に。セルビア人の友人曰く、ご両親はこの水を飲むのだそうです。パーティが重なる年末年始のシーズン、飲みすぎた翌朝に、とても良いのだとか。勇気を出して少し飲んでみました。ヨーグルトのような味がします! これは発酵成功でしょう! そして葉をちぎって食べてみると、なんともコクのある味わい深い発酵キャベツとなっていて感動しました。「キセリクプス」、完成です!

発酵が進み、乳白色に変わってきました
漬け始めから3週間が経過。完成です!

さて、次回はこのキセリクプスがいよいよサルマに変身です。


【文/古賀 亜希子】写真家。成城大学芸術学科を卒業後、東京綜合写真専門学校にて写真を学ぶ。国内外で作品を発表。2009年、ベオグラードでの個展開催をきっかけにセルビアが大好きになり、セルビアと日本の文化交流展覧会を多数企画。イェレナ・イェレミッチ著『イェレナと学ぶセルビア料理』の企画・翻訳に携わるなど、 最近は専らセルビア料理を研究中!

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