My Serbia(マイセルビア)

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私のサルマ物語 〜サルマ編〜

【文/古賀 亜希子】

さて、前回の記事で、キセリクプス(発酵キャベツ)が無事に完成しました。

ここからがサルマ作りの本番です!

まずは、キセリクプスを丁寧に一枚づつ剥がして軽く洗います。

そして、肉ダネを作ります。

私はアリリェのお母さんとグルーヤさん、イェレナさんのレシピを参考にしました。いつもいくつかのレシピを比べながらアレンジします。

油をいつもより多めに入れて、玉ねぎ(みじん切り)をよく炒めます。玉ねぎがきつね色になったら、ひき肉、ニンジン(みじん切り)、パセリ(みじん切り)、洗った米を投入し、さらによく炒めます。

塩胡椒、ヴェゲタ(バルカン半島で使われる調味料)、パプリカパウダーで味付け。パプリカパウダーはセルビアの友人が教えてくれたものを使いました。このパプリカパウダーは燻製されているので、他の市販のものより確実に味に深みが増して美味しかったです。スウィートとチリの2種類があります。アリリェのお母さんのサルマがピリ辛で美味しかったので、私はチリパプリカパウダーも少し加えることに。肉ダネが完成!

ネット通販で購入したスペイン産のパプリカパウダーを使いました

葉にタネを乗せて包んでいきます。煮崩れしないよう、ぎゅっと丁寧に巻きます。セルビアで食べたサルマは細長いものが多かったのですが、私は欲張っていっぱいつめて、なんだかおにぎり風に。

こんな感じに並べました

鍋に油を塗って、鍋底に余ったキセリクプスを敷き、サルマを重ねていくのです。サルマの間には燻製ベーコンを挟みます。時々パプリカパウダーを振りかけます。最後に、ローリエを3枚入れて、もう一度余ったキセリクプスで蓋をして、水をひたひたに注ぎます。そして、弱火でじっくり煮込んでいくのです。

残ったキャベツの葉でふたをして、パプリカパウダーをふりかけます
そろそろできあがり

煮込むこと、2~3時間。ついに完成! 私のサルマ、いかがでしょうか?

初めてのサルマ完成!

まずはやっぱり、アリリェでお母さんの美味しいサルマを食べさせてくれた友人夫婦(東京在住)に、味見をしてもらいましょう。どきどき。

「美味しかったよ!」

「セルビア人が作ったと言ってもわからない!」

夢のような嬉しい言葉をいただき、ほっとしました。サルマ検定、合格!

ただし、もっと美味しくするには、もっと煮込むこと。サルマはいくら煮込んでもいいと友人が教えてくれました。そして、油の量を加減しない。これは、セルビア人皆が言っていることですが、油が料理をおいしくするのです。私たちは、ついつい塩や油の量を加減しがちですが、セルビア料理をおいしく作るコツは、「思い切ること!」ということで、次回の教訓にしたいと思います。

時短料理に慣れている私たちにとって、サルマを作ることは確かに大変な作業です。でも、セルビア料理の多くがそうであるように、手間と時間をかけて作った料理の良さは、どんな料理にもかないません。アリリェのお母さんのサルマが忘れられない理由がわかりました。ぜひ、みなさんにもご家庭でセルビア料理にチャレンジしてもらいたいです。

そして私は、ますますサルマが好きになりましたとさ。

おしまい。

Tiki’s kitchenのサルマ動画はこちら!


【文/古賀 亜希子】写真家。成城大学芸術学科を卒業後、東京綜合写真専門学校にて写真を学ぶ。国内外で作品を発表。2009年、ベオグラードでの個展開催をきっかけにセルビアが大好きになり、セルビアと日本の文化交流展覧会を多数企画。イェレナ・イェレミッチ著『イェレナと学ぶセルビア料理』の企画・翻訳に携わるなど、 最近は専らセルビア料理を研究中!

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