セルビア在住の美術史家である山崎佳夏子さんがベオグラードのギャラリーをめぐり、旬の展覧会やアーティストを紹介しながら現在のセルビアアート事情を独自の視点で語ります。
【第5回】ウロシュ・プレディチとヴォイヴォディナのセルビア美術


EUの欧州文化都市事業でノヴィサド市が2022年の都市に選ばれたことで日本とセルビアの間でも美術や文化の交流が行われたことは記憶に新しい。ベオグラードから約100キロのところにあるノヴィサドはヴォイヴォディナ自治州の州都で、長くオーストリア文化の影響を受けていた土地だったため、現在も首都のベオグラードと並ぶほど文化活動が盛んだ。
【第4回】現代美術の行方〜ベオグラード現代美術館のムルジャン・バイッチ展を見て〜


ベオグラードを訪れた人でもベオグラード現代美術館へ行ったことがある人は少ないだろう。まず2007年から2017年までの十年間は改装のため閉館していたので、戦争が落ち着いて日本からセルビアを訪れる人が増えた時期に開いていなかった。
【第3回】とびっきりの子どもの世界を描く画家ミレナJNK


ベオグラードの中心地から坂を下ったところにあるドルチョル地区は、トラムの通るツァーラ・ドゥシャナ通りを境にアッパーエリアとロウアーエリアに分かれる。
【第2回】歴史と今が交差する。セクリッチ夫妻のイコンコレクション


二〇二二年七月頭。日本でも今年は六月中にもかかわらず連日酷暑だというニュースが流れていたそうだが、ベオグラードも同じで連日最高気温34℃…。
【第1回】ナイトスポットにある新たなアートハブ


ここ数年、ベオグラードでは新しいギャラリーがどんどん誕生している。7年前にベオグラード美術大学の一年生だった人が「僕が入学した頃に比べたら、今はその倍ぐらいギャラリーがある感じ」と言うほどの大きな変化だ。
【プロフィール/山崎 佳夏子(Kanako Yamasaki)】美術史家。ベオグラード在住。岡山大学大学院在籍中に1年半ベオグラードへ留学し、セルビアの近代美術の研究をする。一時帰国を経て再度ベオグラードへ渡航し結婚。2020年に生まれた長男の育児中。主な著作に『スロヴェニアを知るための60章』(共著、明石書店、2017年)、『ボスニア・ヘルツェゴヴィナを知るための60章』(共著、明石書店、2019年)(共に美術の章の担当)。