My Serbia(マイセルビア)

セルビアの美・食・住の情報が集まるライフスタイルマガジン

「ワインや食を通じて交流を生み出したい」セルビアワインの魅力に迫る【特別インタビュー・後編】

【構成/My Serbia】

セルビアワインの魅力に迫るインタビュー企画。前編ではワイン輸入のきっかけやワイナリーの方とのエピソードをご紹介いただきました。後編は、おすすめのワイン、飲み方、今後の展望について、輸入販売業務を行う株式会社Makoto Investmentsの取締役、シュミット孝子さんにお話をうかがいました。(聞き手/古賀 亜希子)

セルビアのアレクサンドロヴィッチワイナリーにて
ワイン1本1本にストーリーがある

ーー日本でセルビアワインはどのように受け入れられていますか?

まだキワモノ扱いです。これまで東京大丸さんの催事や野外イベントなどで販売したことがありますが、そこで初めてセルビアワインをお客様に知ってもらっています。「セルビアってどこ?」というところからです。お客様にとっては初めてのものだし、価格も安くはないので、どんなワインなんだろう、という感じです。まずは試飲ありきで、飲んでいただかなくてはいけません。実際に飲んでいただくと、ほとんどの方が「あら、おいしいじゃない!」と好意的でした。

私たちは5年前からセルビアワインを扱っていますが、近年「セルビアの固有品種はないの?」という方も増えてきました。私たち以上にワインに詳しく、いろいろなワインを探している方にも「思ったよりしっかりしたワインが多いんだね」「セルビア悪くないね」という感想をいただいています。扱っているワインはアルコール度数14度と高めですが、しっかりした濃いワインをお探しの方に勧めやすいものもあります。

ーーコロナ渦での取り組みはいかがでしたか?

去年はイベントがなかなかできず、東京大丸さんの催事ではコロナの影響で試飲ができませんでした。どうやって売ろうかというのが一番のチャレンジでした。そんな中で着目したのが、ワイン1本1本にストーリーがあるということです。セルビアを知らない方も多く、セルビアワインがどんなものか疑問を持つ方も多いので、固有品種以外に、このワインはこうだというストーリーを持っているものを重視して探しています。

例えば、アレクサンドロヴィッチワイナリーには、セルビアが王国だった時代にワインを献上していたというストーリーがあるので、「王室ワイン」という形で売っています。ほかにも、門外不出なレシピで作られたワインというのもあって、戦争中にカナダに渡ったけれど、醸造家がまた戻って来て……などと壮大な物語があるんです。そのようなストーリーをお客様にお伝えすると喜んでもらえます。

アレクサンドロヴィッチさんとは、今後Zoomでオンライン試飲会を開催したいと思っています。飛行機に乗って現地に行かなくても、ワイナリーの人と話ができて、ワインの説明を聞きながら飲める機会があれば、みなさん興味を持っていただけると考えています。

アレクサンドロヴィッチさん(右)と造り手の方
リージェントとロドスロフに一目惚れ

ーーおすすめのセルビアワインを教えてください

アレクサンドロヴィッチワイナリーのリージェント。これは私たちの会社の貿易チームが一目惚れしたワインです! そして同じワイナリーのロドスロフ。この2つは本当におすすめです。ロドスロフは値段が高くなりますが、お祝いごとなどにふさわしいワインです。

私たちは皆、アレクサンドロヴィッチさんには格別な思い入れがあります。なぜなら初めて「おいしい!」と感じたのが彼のワイナリーのリージェントだったからです。アレクサンドロヴィッチワイナリーがセルビアで一番有名だということを聞いて、ワイナリーに行って、感動したのが最初。その後、いろんなレストランに必ずアレクサンドロヴィッチのワインがあることがわかりました。

一番最初に輸入が決まった時、アレクサンドロヴィッチさんには日本でのお披露目会のために来日していただきました。セルビア大使館で試飲会を開催しました。その時にアレクサンドロヴィッチさんが「ユーゴスラヴィア時代は大量生産が政策にあったので、自分たちの思うようなワインは作れなかった。今は解放されて、ようやくこだわりのワインを作れるようになった」と喜びを語っていました。ほかにも、セルビアを含めた旧ユーゴスラヴィア諸国では、新しい国家誕生後のワイン開発の勢いがものすごいとか、ユーゴスラヴィア解体から30年近く経ち、飲み頃な赤ワインが出てきてるとか、そのようなお話をされていたのが印象的でした。ユーゴスラヴィアという国が生まれる前からセルビアはワインの主要な生産地だったので、決してワインが一人歩きをしているのではなく、歴史を含めたストーリーがあるんだなと思いました。

ロドスロフとリージェント

ーーコロナの影響で外食する機会が減っています。自宅でのワインの楽しみ方などはありますか?

白ワインでしたら、イヴァノヴィッチのタミヤニカ。華やかな香りですっきりした辛口なので、クリーム系のパスタに合います。お魚にももちろん! あとはロゼですね。固有品種が2種入っています。フルーティーな香りも楽しめますが、すっきりとした辛口で、ちょっと脂っこい中華料理、春巻きやしゅうまいといったお惣菜に合います。意外かもしれませんが、おはぎなどのあんこを使った食べ物にも合います。日本だとロゼは甘いと思われていますが、セルビアのロゼは、香りは甘いけど辛口で飲むとすっきり。いろいろ試しても合うんですよ。ぜひみなさんにはロゼでご自宅でお花見気分を楽しんでもらいたいです!

ーーセルビアワインはどこで購入できますか?

私たちの通販サイトです。あとは東京・神楽坂のオフィスに常時そろえているので、直接購入することも可能です。ほかには東京港区の老舗酒屋「あたご小西」さん、山口県防府市のまちの駅「うめてらす」、デパートでの催事などです。今年3月には伊勢丹新宿店さんの催事に参加予定で、そこでもお買い求めいただけるかと思います。

まだまだ知られていないものを紹介していきたい

ーーワイン以外にもセルビアの製品を扱っていますか?

アイバルというローストパプリカのペーストも輸入していて、3月に再入荷します。お酒だと二十歳以上の方に限定されてしまいますが、アイバルはパンに塗ったり、肉に付けたりして、子供からお歳を召した方まで幅広く楽しんでもらえます。みなさん本当においしいと言ってくださいますし、栄養価もあります。お料理研究家の方におすすめの食べ方や、日本に合った食べ方を紹介していただいて広めていきたいです。「日本の食卓にアイバルを」というのが私たちの目標です。あとはハムがおいしいので本当は持って来たいのですが、規制等で許可がおりません。カイマック(セルビアでよく食べられる高脂肪のクリーム)なども輸入したいですね。

セルビアの食は、おいしいことに加えて、農薬を使っていません。私たちはこだわりを持って、体に良いもの、健康を害しないものを選んでいます。アイバルもそうですが、添加物が入っているものは避けています。セルビアは農薬や添加物を使っていないという点も魅力です。

――最後に今後の展望や夢を教えてください

今年もしセルビアに行けるようだったら行きたいです。セルビアの食品で日本人が好きそうなものを開拓して、輸入していきたいと考えています。私たちの貿易部門は「モンドデリシャス」という部門名を持っています。その意味は「世界のおいしいもの」。食に特化をして、まだまだ知られていないものを紹介していきたいですね。

セルビアだけでなく世界にはおいしいものがたくさんあります。例えばワインなら「ああ、おいしい!」と思うことが一番。そこから、どこが作っているんだろうと興味を持ったり、醸造元に思いを巡らせたりすることができます。私たちが知らないことや誤解していることがあっても、ワインや食を通じて交流が生まれ、お互いを知ることで、ひとつひとつ解決できるはずです。

私も例えば美術作品を通して、セルビアにはこんなに素晴らしい画家がいるんだと知ることができました。それと同じです。食は、ひとつのきっかけにすぎないかもしれませんが、たくさんあるきっかけのうちのひとつになれたらいいなと思います。

サニャ・トリプコヴィッチさんとシュミット孝子さん

インタビュー協力

シュミット孝子
株式会社Makoto Investments取締役。貿易事業部のMonde Deliciousにて、2016年からセルビア共和国よりワイン、食品(アイバル)の輸入を開始。
サニャ・トリプコヴィッチ
セルビア共和国出身。現在は株式会社Makoto Investmentsに在籍し、コンサルティング部のマネージャーとして、国内外の企業の業務改善コンサルティングに従事。日本滞在20年。日本式「改善文化」を世に広めるべく日々奔走!

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