My Serbia(マイセルビア)

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ティボル君が厳選したセルビアの笑い話5つは日本人に通用するのか

あけましておめでとうございます。

新年第1回目の記事は、セルビア人の「笑い」についてです。

セルビア人はとてもユーモアにあふれ、冗談を言ったり、笑い話をしたりすることが大好きです。

笑い話のことをセルビア語で「ヴィッツ(Vic)」と言い、そのほとんどがエスニックジョークやブラックユーモアです。ヴィッツは社会情勢の変化とともに常に新しいものが作られます。人それぞれにお気に入りのヴィッツがあり、友人同士でお酒を飲んでいると突然お披露目会が始まることがあります。また、インターネットやSNS上で新作を目にしたら、友人に話して、反応を楽しみます。

セルビア人は面白いヴィッツを聞くと声を出して笑います。ただ、日本人にとっては「そこまで面白い?」と首を傾げたくなるような話もあります。話の流れやオチを理解していても、セルビア人と同じ反応にはならないのです。むしろオチが秀逸すぎて「なるほど!」と感心させられる方が多いです。生まれ育った環境、価値観、考え方が違うから、と言ったらそれまでですが、セルビア人と日本人の笑いのツボは明らかに異なるようです。

ということで、今回はセルビア出身の友人から実際にヴィッツを聞いてみたいと思います。

日本在住のティボル君です。

ティボル君は笑い話が大好きで、常に新作を披露してくれます

今回、お気に入りのヴィッツを5つ話してほしいとお願いしたところ、「まかせておけ」と快く承諾してくれました。

ティボル君、早速、ヴィッツを話してくれる?
ティボル
オーケー。まずはひとつめだ。
ティボル
ピロト出身の男がバーにいる。
カウンターの端には美女がひとり。
彼女のグラスにはお酒がほとんど残っていない。
男「マスター、ちょっといいかい?」
マスター「なんでしょう?」
男「あちらの女性は何を飲んでいたんだ?」
マスター「ウィスキーです。25年物の。」
男「・・・」
男「氷を2つ。私からと伝えてくれ。」
・・・・・・
ごめん、ひとつめからよく分からない。
ティボル
解説が必要か?
うん、お願い。
ティボル
ポイントは男がピロト出身ということだ。
ピロトはセルビア南部の小さな町。
セルビアのヴィッツでは、この町の出身の人間は「ケチ」ということになっている。
いやいや、知らない知らない!
ティボル
男は美女が飲んでいる同じお酒をおごりたかったんだ。
だけど、飲んでいたのは25年物の高級ウィスキー。
「ケチ」な男はウィスキーをあきらめ、代わりにタダ(無料)の氷を頼んだわけだ。
そういうことね。
うーん、予備知識がないとあまり楽しめないかも。
ティボル
そうか、分かった。
ただ、次の話は予備知識が不要だ。心配するな。
仲の良い老夫婦の話だ。
2人は長い間一緒に暮らしていたが、夫が90歳で亡くなり、後を追うように妻もすぐに亡くなってしまった。
しかし、2人は天国で再会した。
夫婦は手をつなぎ、きれいな公園を散歩していた。
そこには見たこともないきれいな花や美しい湖があった。
天国と呼ぶにふさわしい景色がそこに広がっていた。
夫は立ち止まり、何を思ったのか突然妻に怒り出した。
妻「じいさん、急にどうしたんだい!?」
夫「ばあさんが食事に気を遣っていたせいで、ここに来るのが30年も遅くなってしまったじゃないか!」
ああ、それは分かる。
おばあさんの食事のおかげでずっと健康でいられたのに、天国の良さが分かった途端、長生きしたことを後悔したのね。
ティボル
ブラボー! そういうことだ。
ただ、笑い話というよりも謎解きみたい
「なぜおじいさんは怒ったのでしょうか?」みたいな。
ティボル
まだ、序の口だぞ。よし、次だ。
アルコール依存症相談窓口にひとりの男がやってきた。
男「ずっとここに来るかどうか悩んでいたけど、今日ようやく決心しました。」
相談員「よく来られましたね。どうしましたか?」
男「コニャックというお酒はロックで飲むのが一般的ですか?」

・・・これは面白いかも。
シンプルでいいね。分かりやすい。
ティボル
短くて分かりやすいといえば、これだ。
ピロト出身の・・・
出た! ピロト!
ティボル
そうだ。
ただ、もうお前はピロトにはどんな人が住んでいるのか知っている
「ケチ」な人間ね。
ティボル
そうだ。そのピロト出身の男性が女性と出会い結婚した。
しばらくして妻が妊娠。病院でなんと四つ子が産まれたんだ。
助産師「お母さん、よく頑張りましたね。元気な四つ子ですよ。」
助産師「お父さん、どうしたんですか? 元気出してください。」
・・・えーっと、ちょっと待ってね。
これはお父さんも本当は喜ぶべきなんだけど、4人の子供を養うにはお金がたくさんいるから・・・
ティボル
そうだ。
「ケチ」な父親が今後の生活を考えた場合、本心で喜べないというわけだ。
ただやっぱり、声を出して笑うって感じじゃないんだよね。
ウィットに富んでいて、感心させられるというか。じわじわと込み上げてくる感じ。
ティボル
分かった。最後はとっておきの話だ。

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これは面白い!
ティボル
だろ?
いやー、よく考えるね。こんなの
ティボル
今日はこんなところだ。
またいつでも聞きに来ていいぞ
ありがとう。
いやー、ヴィッツは奥が深いね。
聞く前の期待感が半端ない。
ティボル
そう言ってもらえて嬉しいよ。
それでは、また会おう!

みなさん、いかがでしたか? 正直、日本語に訳したり活字にしたりすると、感覚的な理解度にズレが生じるのは否めません。あと、ティボル君いわく、本当に面白いのはブラックユーモアを交えたものらしいのですが、今回は控えさせていただきました。ちなみに、私の妻(セルビア人)に上記のヴィッツを話したら、アルコール依存症相談窓口の話に大爆笑していました。

近々、またティボル君に登場してもらい、別のヴィッツをご紹介したいと思います。


【文/小柳津 千早】大学卒業後、セルビア語を学ぶためベオグラードに留学。そこで日本語学科に通う女性と出会い、無職の身でプロポーズをして見事成功。現地で400人の前で結婚式を挙げる。帰国後、スポーツメディア関連会社に3年半勤務。現在はセルビア共和国大使館で通訳として働く。休みの日は妻と子供2人で公園を散歩するのが好き。

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