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極寒の川に投げ込まれた十字架を目指せ

【文/小柳津 千早】

1月19日はセルビア正教会の神現祭でした。セルビア語でボゴヤブリェニェ(Bogojavljenje)と言います。この日はハリストス(キリスト)がヨルダン川で洗礼を受けたことに順じて、大聖水式と呼ばれる儀式が国内各地で行われます。教会の聖職者が川や湖に十字架を投げ込み、信者らが競い合いながら、泳いで取りに行くのです。最初に十字架を手にした人に幸運や健康がもたらされると言われており、極寒の中、真剣勝負が繰り広げられます。一方で、水に浸かる(身を清める)こと自体が重要であるため、参加者は争わず、順番に入水して泳ぐこともあります。

昨年(2020年)の大聖水式の様子。ボート上の聖職者が十字架を投げ込む

今年は新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、参加者や観客の人数が大幅に制限されたり、開催が中止されたりしました。SNS上では「この日のために体を鍛えてきたのに」「マスクをしながら泳ぐから開催して」と伝統儀式が例年通り行われないことを悔やむ人が多く見られました。つい先日、セルビア西部のズラティボル山地で世界最長のゴンドラの営業が開始され、記念式典には数百人が参加しましたが、「レジャー施設がOKで、大切な宗教行事がダメなのは理解できない」と多くの批判が寄せられました。

現地メディアによれば、結局、小規模ながらも大聖水式が開催された地域もあれば、主催者(市、観光局、教会など)なしで有志が集まり泳ぐだけ(十字架の争奪戦はなし)で終わったところもあったようです。

下記の動画はセルビア国営放送のニュースです。大聖水式の様子は13:00~15:14で見られます。男性だけでなく少年少女も参加していることが分かります。13:54~の少女(12歳)は「参加できたことが光栄。今年は十字架を取れなかったけど、来年は一番になりたい」とコメント。14:11~の少女(16歳)は優勝して「みんなが私を先に行かせてくれたので勝つことができた」と話しています。

RTS(セルビア国営放送)より。※今後動画が削除される可能性もあります

コロナ禍がいち早く終わり、今まで通りの神現祭が行われることを願うばかりです。


【文/小柳津 千早】大学卒業後、セルビア語を学ぶためベオグラードに留学。そこで日本語学科に通う女性と出会い、無職の身でプロポーズをして見事成功。現地で400人の前で結婚式を挙げる。帰国後、スポーツメディア関連会社に3年半勤務。現在はセルビア共和国大使館で通訳として働く。休みの日は妻と子供2人で公園を散歩するのが好き。

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