【文/Nao】
ベオグラードのXビタミン・ギャラリーで、ネナド・M・コスティッチ博士の美術コレクションを紹介する展覧会「パブリック・ホビー(Javni hobi)」が開催されています。会期は2026年10月8日から11月7日までです。
「パブリック・ホビー」は、コレクターのコスティッチ氏とXビタミン・ギャラリーの協力から生まれた展覧会シリーズです。個人の美術コレクションを公開し、美術品の収集やセルビアのアートシーンへの関心を高めることを目的としています。
2020年の初回展以来、作品の展示に加え、対話や関連プログラムを通じて、アーティスト、コレクター、ギャラリスト、来場者をつないできました。毎回、新たに選ばれた作品を通して、セルビア美術のさまざまな世代や表現、潮流を紹介しています。同時に、個人のコレクションが創作活動を支え、作品を広く社会に紹介するうえで果たす役割にも光を当てています。

美術作品を集めるきっかけに
6回目となる今年の副題は「コレクターを育む場(Rasadnik kolekcionarstva)」。来場者が自分の美術コレクションを始めたり、さらに充実させたりすることを後押しします。
その取り組みの一つとして、計15点の美術作品を参加者に贈る企画が行われています。希望者は11月3日まで、ギャラリーで配布される専用の応募用紙に記入して応募できます。審査は匿名で行われ、応募理由が高く評価された人に作品が贈られます。
この企画は、美術を愛する気持ちを育み、新たなコレクションの誕生を支えることを目指しています。

化学者であり、美術コレクターでもあるネナド・M・コスティッチ
ネナド・M・コスティッチ氏は、1952年11月18日、ベオグラード生まれの化学者です。2003年からセルビア科学芸術アカデミー(SANU)の在外会員を務めています。
ベオグラード大学自然数学部で化学を学び、1982年に米国のウィスコンシン大学で博士号を取得。米国の大学で研究・教育活動に携わり、アイオワ州立大学では化学・生化学の正教授を務めました。専門は生物無機化学で、特に金属タンパク質間の反応を研究しています。
科学者として活動する一方、長年にわたって美術品を収集し、芸術の支援者としても活動してきました。セルビアの若手から、すでに評価を確立した作家まで、幅広いアーティストを支援しています。
コレクションには、現代美術やセルビアの抽象美術など、さまざまな世代や潮流の作品が含まれています。2025年の本人の発言によると、約220人の作家による約650点の作品を所蔵しています。

収集を通じて、セルビアの美術を支える
コレクションの主要な作品は、Xビタミン・ギャラリーで開催された「パブリック・ホビー」(2020年)と「パブリック・ホビー2」(2021年)でも紹介されました。
初回は若手・中堅作家に焦点を当て、第2回はセルビアの抽象美術を紹介。ペータル・ルバルダ、オルガ・イェヴリッチ、コスタ・ボグダノヴィッチ、ミラ・ブルトカ、オト・ロゴらの作品が展示されました。
コスティッチ氏は、美術品の収集を個人的な趣味としてだけでなく、アートシーンを支える活動として捉えています。特に、これからキャリアを築いていく作家への支援を重視しています。
個人コレクションの公開や美術批評を奨励する取り組みを通じて、美術作品をより多くの人々に届けようとしています。

- 展覧会名: パブリック・ホビー 6(Javni hobi 6)
- 会期: 2026年10月8日~11月7日
- 会場: Xビタミン・ギャラリー(X Vitamin)
- 住所: Resavska 19a, Beograd
- 作品贈呈企画の応募締め切り: 11月3日
- 詳細: Xビタミン公式サイト
【文/Nao】セルビア・ベオグラード在住。母は大阪出身の日本人、父はセルビア人の家庭に生まれる。 ベオグラード大学哲学部にて美術史を専攻。ベオグラード現代美術館(MSUB)にてボランティア活動および勤務を経て、現在は現代美術を専門とする「X Vitamin Gallery」で働く。



