My Serbia(マイセルビア)

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アレクサンドラ・コヴァチュ大使の講演(於昭和女子大学オーロラホール)

【文/岸山 睦】

待ちに待った2022年、1月26日(水)がやってきた。思えば何ヵ月もの準備期間。しかもコロナ禍によって開催まで危ぶまれた。しかし、ようやく大使一行をお迎えできた。黒塗りの大使館の車はなんと気品高いことだろう。セルビア国旗を左サイドに掲げ、高揚感があった。お迎えするオーロラ・ホールの看板は学校で一番大きなものを用意させていただいた。たとえオンラインで学生は来なくても、せめてもの「オモテナシ」がしたかったのである。

時あたかも日本・セルビア友好140年にあたり、記念の年である。明治天皇とミラン1世オブレノヴィッチ国王が書簡を交わしたその年である。今後もセルビアと日本の友好関係を願わずにはいられない。

講演では大使の自己紹介から始まり、セルビアの歴史、ジェンダー、女性の地位向上など幅広くお話いただいた。流暢な日本語と英語には誰しもが感心した。学生は80名ほどオンラインのみの参加である。オーロラ・ホールの看板の色は志摩副学長発案の「ドナウ川」を思わせる青にした。これもまた「オモテナシ」である。

日本にとってセルビアは9000キロ以上も離れた遠い国。そんな国を分かりやすく紹介いただいた。北海道程の面積に700万にも満たない人口である。それでも多様な民族に多様な文化がある。女性の活躍も目覚ましい。首相を含めてセルビアの政府の5割は女性であるという。日本は学ぶべきところがたくさんある。

セルビア人は誠に英語が上手である。聞くところによると現在、小学校1年から週2〜3回英語の授業があり、5年からさらにもう1つ、フランス語やドイツ語などが加わるという。一般に小国は生きていくために外国語が必要となる。テニス選手のジョコビッチもポリグロットである。彼は海外で勉強したというよりは、語学へのパッションが尋常ではなく、才能もまた抜きんでている。おそらくテニス同様Repetition is the mother of learning.「繰り返しは学習の母」という習い事の基本がわかっているのであろう。その様子はユーチューブで検索できる。

さて、最後に今回の講演会の枠組みをまとめておきたい。なお、この講演は昭和女子大学では志摩園子副学長の発案よりGlobal Seminarの一環として行われ、今後も女性大使につないでいくことを計画している。

1. 事前勉強会(岸山によるセルビア語の話やユーゴ紛争の基礎知識)講義(1時間の講義<セルビアの歴史とセルビア人女性の状況について>)

2. アフターディスカッション(講義内容のまとめと<アンケート結果>について)

【代表的な学生の意見】

■事前勉強会

・セルビアの文化や講師の体験談を聞けてとても楽しかった。機会があったら参加したい。

・日本が黄色いバスを100台も寄付したことは知らなかった。

■大使のお話

・セルビア大使の大変貴重な機会を設けていただきありがとうございました!

・セルビアについては世界史で少し勉強したことはあったが、しっかり触れるのは初めてであった。セルビアについての知識を深めるためにとても良い機会となった。次回もこのような講演会があった場合、参加したいと思った。

・セルビアは世界史でほんの少し触れたのみで、その歴史と文化を知ることができた。

・日本の皇室とセルビアの王室の交流に驚いた。

・最初日本語で分かりやすかったが語彙力不足で英語部分には不安が残ったが、予測しながら聞くことは貴重な体験だった。もっと英語を頑張ろうと思った。

■アフターディスカッション

―まだまだ質問がしたいという学生が多かった。

・セルビアがEUに入るためには様々な障害がありますか?

・J-POPカルチャーはどれほどセルビアに浸透していますか?例えば「鬼滅の刃」など観ますか?

・セルビア人は語学が堪能ですが、学校教育だけでは説明がつきません。地理的な要因や、セルビア人の外交的な性格が関係しているのでしょうか。

・ロシア・ウクライナをどう考えるか聴きたい。

大使館の車を見送るとき、“Довиђења!”「さよなら」というセルビア語が飛び交った。大使館のコヴァチュ大使、マリヤ・ペリシッチさん、ティヤナ・ナガトさん、(大使のご講演前に細かいところまでお教えいただいたので、勉強会で自信をもって話すことができました)

応援に来ていただいた元駐セルビア共和国大使で日本セルビア協会副会長の角崎利夫様、同協会理事の角崎悦子様、写真家でこの企画を実現された古賀亜希子さん、ズームで参加してくださった大使館のご関係者様、他大学のご関係者様、ありがとうございました!そして大使館の元通訳・小柳津千早さん。なんとセルビアからご参加、そして熱い声援、誠にありがとうございます。またすべてを可能にしてくださった国際文化研究所の志摩園子副学長、友田博通先生と鈴木引三さん。情報メディアの皆さま。この日のためにセルビア語を覚えられ、貴重な時間をさいてくださった小原奈津子学長と坂東眞理子学長・総長に改めて謝辞を申し上げたい。お二人の口からセルビア語が出たことで私は歓喜した。素晴らしい! お二人の想いは必ずセルビア研究普及に必ず貢献されることでしょう。


【文/岸山睦(きしやま むつみ)】昭和女子大学グローバル学部教授。法政大学講師。担当科目は「英語」と「言語学」。最近の趣味は「千本桜」をフラメンコギターで弾くこと。 

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