【構成/My Serbia】
バレーボール2022-23シーズン V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)の埼玉上尾メディックスにはセルビア出身のサラ・ロゾ選手がプレーしています(登録名:ロゾ サラ、シャツネーム:LOZO)。昨年秋に来日し、すでに5か月が経過。今ではチームにもすっかり溶け込み、攻撃の中心選手として大きな活躍を見せています。My Serbiaは今回、サラ選手にインタビューを実施。日本のバレーボールの印象や普段の生活、そして母国セルビアの魅力についてお話をうかがいました。(聞き手/小柳津 千早)
日本に来て、守備力の高さに驚いた
――日本に来て5か月が経ちました。来日当初、埼玉上尾メディックスのスタッフや選手たちはどのように受け入れてくれましたか?
とても温かく歓迎してもらいました。スタッフや選手たちは来日したばかりの私を気遣ってくれたので、何ひとつ不自由はなかったです。日本人はいつも笑顔で、優しくて、ポジティブなエネルギーで満ち溢れています。私の日本でのバレーボール生活を支えてくれるすべての人に感謝したいです。
――Vリーグで実際にプレーしてみて、日本のバレーボールの印象をはどうですか。サラ選手はこれまでカザフスタンやロシアでプレーしたほか、セルビア代表でも実績を残しています。ヨーロッパと日本のバレーボールの大きな違いがあれば教えてください。
来日する前はVリーグについてあまり情報がなかったのですが、バレーボール日本女子代表がとても強いことはよく知っていました。今こうして日本のリーグでプレーして実感しているのは、日本人はとても俊敏で反応が良いこと。そして守備力の高さには驚かされています。得点を入れるのがヨーロッパのリーグよりも難しいです。一方で、ヨーロッパの選手たちと比べれば体格や力の差はありますが、それを補うだけの技術が備わっていると思います。
――高いパフォーマンスを維持するために、心掛けていることはありますか?
特に意識していることはありません。プロのバレーボール選手として、毎日、規則正しい生活を送るだけです。日々のトレーニングに励み、健康的な食事を取り、しっかり休む。今までそうしてきましたし、これからも同じです。すべては試合で良いパフォーマンスを披露するためです。他のスポーツ選手も同じようにしていると思います。
日本食は本当においしい
――休みの日の過ごし方を教えてください。日本でお気に入りの場所はありますか?
東京の渋谷、新宿が好きです。クラブの本拠地・上尾市から電車で45分の距離なので、移動もさほど気になりません。近くの大宮駅周辺にも行きますよ。私は混雑した場所が好きなんです。人々の活気は私に大きなエネルギーを与えてくれるからです。
練習や試合の後で疲れている時は、家で本を読んだり、映画を見たりしてゆっくり過ごしています。そうそう、来日前に父親がクロスワードパズルの本を何冊か持たせてくれたんです。その時は「こんなにたくさんどうするの?」って思いましたが、今ではベッドで横になりながら、必死に問題を解いている自分がいます。
日本の生活には慣れたと言えるかもしれませんが、日本の素晴らしい文化や習慣を知るための時間が不足している気がします。でも私はバレーボールをやるために来日したので、しょうがないですね。それでも休みの日にはなるべく外出して、日本で新しいことを発見しようと心掛けています。
――日本食は好きですか? セルビア料理は肉料理が中心で、少し油っぽくて、カロリーも高いので、正反対のような気がするのですが。
味噌汁が本当に好きで、24時間飲んでいても飽きません。特に、豆腐、わかめ、ねぎの組み合わせが最高! しいたけもいいですね。味噌汁を飲むたびに毎回感動しているんです。あとは白米も好きです。来日したばかりの頃は、食事に必ず白いご飯が付いてくることに驚きましたが、今ではご飯がないと物足りなく感じるほどです。
ほかには餃子、ラーメン、焼き魚、おにぎり、お餅、納豆も好きです。唯一苦手なのはうどんですね。食べられないことはないのですが、麺のもちもちした食感に慣れません。日本食は本当においしくて、健康的なので大好きになりました。いつか日本を離れる時が来たら、きっと恋しくなるでしょうね。
セルビアを訪れて、人、文化、自然の魅力を知ってほしい
――My Serbiaはセルビアの魅力を日本人に発信しているサイトです。日本の皆さんにセルビアのどんなところを知ってもらいたいですか?
まずは人ですね。セルビア人は心が温かく、親切です。セルビアを訪れたら、きっとお分かりいただけると思います。あとはセルビアの文化、自然、歴史遺産も魅力的です。首都のベオグラードはおしゃれなレストラン、カフェ、バー、クラブがたくさんあります。セルビア料理もぜひ味わってもらいたいです。
私の生まれ故郷であるヤゴディナ(Jagodina)という町もおすすめです。ポトク(Potok)という公園は市民のオアシスです。少し離れた山間部にあるラヴァニツァ(Ravanica)修道院、リシネ(Lisine)という滝も名所です。セルビアはハイキングに最適な山がたくさんあるので、自然好きな人は北部のフルシュカ・ゴーラ(Fruška Gora)の丘陵地、西部のタラ(Tara)やズラティボル(Zlatibor)といった高原地帯も訪れてほしいですね。日本ではセルビアのことがあまり知られていないようなので、いろいろな観光地を訪れて、セルビアの良さに気づいてほしいです。
――セルビア料理について教えてください。サラ選手の一番好きな料理は何ですか?
たくさんありますが、一番は仔牛肉のスープ(Teleća čorba)ですね。レストランに行くと必ず注文します。あとはサルマ(Sarma)というロールキャベツ。発酵したキャベツを使っているので少し酸味があります。家庭的なパスーリ(Pasulj)という豆の煮込みも好きです。チェヴァピ(Ćevap)という棒状に成形した肉のグリル、プリェスカヴィツァ(Pljeskavica)というハンバーグ、豚や羊の丸焼き。肉料理にハズレはありません。デザートなら、サワーチェリーのパイ(Pita sa višnjama)です。セルビア料理は日本食とはかなり様相が違いますが、日本人の口にきっと合うと思います。
――今セルビア料理を食べられるとしたら何を選びますか?
仔牛肉の蒸し焼き(Teletina ispod sača)という料理です。鉄製の容器の中に仔牛肉とじゃがいもを入れて、炭で覆い、蒸し焼きにするものです。高脂肪のクリーム、カイマク(Kajmak)とつけ合わせていただきます。ベオグラードの新市街にあるレストラン「Durmitor」(ドゥルミトル)のものが最高なんです。ここのレストランはどの料理もおいしいので、ベオグラードに訪れた際はぜひ立ち寄ってほしいですね。
――最後に、今シーズンも終盤を迎えましたが、サラ選手の目標を教えてください。
まずは試合で良いプレーをしてチームの勝利に貢献することです。そしてファイナルステージに進出して、優勝を目指したいと思います。クラブの新たな歴史を作りたいですね。日本の皆さん、応援よろしくお願いします!
【プロフィール/サラ・ロゾ(Sara Lozo)】1997年4月29日セルビア・ヤゴディナ生まれ。セルビア、カザフスタン、ロシアのクラブに所属後、2022-23シーズンはV1女子の埼玉上尾メディックスでプレー。セルビア代表として2022年ネーションズリーグの3位、2022年世界選手権の優勝に貢献。ポジションはアウトサイドヒッター。