【文/古賀 亜希子】
東京・銀座のSteps Galleryにて開催中の展覧会「刺繍の物語」。
今回日本で初めて作品を展示するヴァーニャ・パシッチさん。おばあさんから受け継いだ織り物の技術を使った美しい作品が大変好評です。
ヴァーニャさんから日本の皆様へメッセージが届きました。写真とともにお楽しみください。
日本の皆様へ
こんにちは。ヴァーニャ・パシッチです。
日本で私の作品を展示できることをとても誇らしく思っています。
現在開催中の展覧会は、私と画家の故ミラン・トーツォヴィッチ氏、そして写真家の古賀亜希子さんの三人の人生を結びつけ、日本とセルビアに壊れることのない絆を生み出してくれました。
ミランの魂は多くの真理と技術とともに私の人生を満たしてくれました。彼の芸術への姿勢とそれに捧げた人生は、私たちセルビア人にとって偉大な遺産です。
私の作品は織り物の技法をベースとしています。「教会」と題した作品は、神聖なものへの探究心から作り続けているシリーズです。
芸術探求とは、芸術は文化遺産を芸術の構成要素として自由に使用できることを意味します。このような過去への眼差しは、未来へ対する歪んだ見方にすぎません。想定される時間的な距離は、織り込まれたイメージのアイデンティティーとなって現れます。
伝統とは世代から世代へ受け継ぐことです。私の祖母は「刺繍」と「織り物」に対する芸術的探究の第一歩を踏み出すきっかけを与えてくれました。
私はこれからも糸を通して自分を表現し続けます。そして、糸が私の人生の中で強いつながりを生み出すことを信じています。
ヴァーニャ・パシッチ(Vanja Pašić)
1994年ウジツェ市生まれ。2019年クラグイェヴァツ大学言語学・芸術学部卒業。2020年ベオグラード現代美術大学絵画科修士課程修了。大学時代に画家のミラン・トゥーツォヴィッチと出会う。トゥーツォヴィッチにインスピレーションを与え、多くの作品のモデルを務めた。現在はベオグラードに在住。複数のグループ展と3回の個展を経験。近年、祖母から受け継いだ刺繍の技術を使って、刺繍や織物作品を展開している。これからの活躍が楽しみなセルビア期待のアーティスト。
展覧会概要
「刺繍の物語」
きっと誰にも説明することができない宇宙の秘密。永遠に続いていく物語。
アーティスト:
ミラン・トゥーツォヴィッチ/Milan Tucović
ヴァーニャ・パシッチ/Vanja Pašić
古賀 亜希子/Koga Akiko
会期:
2024年2月21日(水) – 3月2日(土)
12時 – 19時 ※最終日と土曜日は17時まで、日曜日は休廊
場所:
Steps gallery 公式サイト
東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル5F
【文/古賀 亜希子】写真家。成城大学芸術学科を卒業後、東京綜合写真専門学校にて写真を学ぶ。国内外で作品を発表。2009年、ベオグラードでの個展開催をきっかけにセルビアが大好きになり、セルビアと日本の文化交流展覧会を多数企画。イェレナ・イェレミッチ著『イェレナと学ぶセルビア料理』の企画・翻訳に携わるなど、 最近は専らセルビア料理を研究中!