My Serbia(マイセルビア)

セルビアの美・食・住の情報が集まるライフスタイルマガジン

ようこそ、私たちの農場へ!【セルビア、小さな農場の物語・第1回】

【文/ネヴェナ・ヨヴィチッチ】

My Serbia の読者の皆さま、はじめまして。私は絵本作家のネヴェナ・ヨヴィチッチです! これから皆さまに、セルビアの農村での暮らしを少しずつご紹介していきます。

はじめまして、ネヴェナです!

ここはセルビア西部の小さな村。ようこそ、私たちの農場へ! 家のまわりには牧草地や畑が広がり、家族の宝物である樫(かし)の森がたたずんでいます。私たちは毎日農業に従事し、自然と調和して暮らしています。静かで質素な生活を送りながら、セルビアの伝統と古くからの習慣を大切にしています。家族は5歳から83歳までの8人。それぞれが自分の役割を担い、できる範囲で家の営みに力を注いでいます。

樫の森を抜けた先に農場があります
左から母、弟、私、子どもたち、祖母

農場では果物や野菜、穀物を育て、家畜も数多く飼っています。羊、牛、豚、鶏、ガチョウ、アヒル、七面鳥、そして犬や猫。にぎやかな仲間たちとの暮らしです。世話には根気と労力、家族全員の協力が欠かせません。時には親戚や近所の人々も手を貸してくれるので、作業がぐんと楽になります。

雑草を食む牛
放し飼いのアヒル

私たちの一日は、まだ薄暗い早朝から始まります。まずは家畜たちに餌をやり、母のヴェラが牛の乳を搾り、それを温めます。牛乳からは、毎日チーズやカイマク(高脂肪クリーム)、ヨーグルトなどが作られ、食卓を豊かにしてくれるのです。羊たちは牧草地へと連れ出され、何時間も草を食みます。羊が食事を終えると、家族全員で昼食を準備し、短い休憩をとります。

豚の水やり
産みたての鶏の卵
昼食は農場で採れたもので作ります

弟であり家長のヴァーサは、草刈り、薪割り、トラクターでの畑仕事といった重労働を日々こなしています。年老いた祖母は静かに毛糸を編み、寒い冬に備えます。最も若い家族ーー私の子どもたちもまた、果物や野菜を摘み、羊を見守り、花に水をやりながら、暮らしを支える小さな力となっています。そうそう、写真には写っていませんが、ヴァーサの奥さんのカタリーナ、そして私の夫ミカも一緒に農場を手伝ってくれています。

力仕事はヴァーサが担当
子どもたちも収穫のお手伝い

秋の気配が忍び寄ると、また新しい仕事が私たちを待っています。その物語は、次の便りでお話ししましょう。

次回もお楽しみに!

【文/ネヴェナ・ヨヴィチッチ】絵本作家。自身の本を通して、子どもたちに農村生活、民俗行事、伝統、家族の価値観を伝える。2024年5月にセルビアの農場の一日を描いた初の書籍『One day on the farm』を出版し、翌年にセルビア児童文学界で最も権威がある「ドシテイのペン」賞を受賞した。ほかにも、農場の四季をテーマにしたシリーズ本も刊行。書店でのワークショップを多数開催している。

Share / Subscribe
Facebook Likes
Posts