【文/ネヴェナ・ヨヴィチッチ】
一年で最も暑い季節がやってきました。まぶしい夏の日差しを浴びて、自然は色鮮やかに輝いています。

セルビアの夏はここ数年、とても暑くなっており、日中の平均気温が30度を超える日も珍しくありません。こうした暑さは日々の作業にも影響するため、農村では早朝や夕方から夜にかけての、比較的涼しい時間帯に仕事をすることが多くなります。時には短い夕立ちが暑さを和らげてくれますが、多くの人は川で泳いだり、木陰でひと休みしたりして涼をとります。

夏は農場が一年で最も忙しくなる季節でもあります。畑では小麦、大麦、オーツ麦などの穀物の収穫が始まり、冬に家畜の餌となる干し草づくりも進められます。同時に、果物や野菜の収穫も本格的に始まります。これらの作業はどれも多くの労力と段取りが必要で、これから迎える季節に向けて十分な食料を蓄えておくためには欠かせません。


この時期になると、果物や野菜が次々と実ります。春に種をまき、苗を植えたものがようやく実を結び、さくらんぼやサワーチェリー、あんず、りんご、梨、ラズベリー、ブルーベリーなどの果物のほか、トマト、キュウリ、インゲン、タマネギ、グリーンピースなど、さまざまな野菜も収穫の時期を迎えます。自分の畑で採れたばかりの新鮮な野菜や果物を味わえることは、農村で暮らす人にとって何よりの喜びであり、田舎暮らしならではの大きな魅力の一つです。


夏は子どもたちにとっても特別な季節です。夏休みは6月中旬に始まり、9月1日まで続きます。子どもたちは遊んだり友達と過ごしたりする時間がたっぷりあります。日が沈み、暑さがやわらぐ頃になると、家族は庭に集まり、子どもたちは暗くなるまで元気に遊び続けます。

美しい夕焼け、豊かな自然、そしてあたり一面に響くコオロギの鳴き声。そんな夏の夕暮れが織りなす風景は、街ではなかなか味わうことのできない特別なものです。

だからこそ、多くの人にとって夏は、セルビアの農村で暮らす一年の中で最も素晴らしい季節なのです。そして近年では、多くの都市部の家族が村にある別荘で夏を過ごすようになり、この季節の農村はいつも以上ににぎわいを見せています。

【文/ネヴェナ・ヨヴィチッチ】絵本作家。自身の本を通して、子どもたちに農村生活、民俗行事、伝統、家族の価値観を伝える。2024年5月にセルビアの農場の一日を描いた初の書籍『One day on the farm』を出版し、翌年にセルビア児童文学界で最も権威がある「ドシテイのペン」賞を受賞した。ほかにも、農場の四季をテーマにしたシリーズ本も刊行。書店でのワークショップを多数開催している。


