【文/古賀 亜希子】
明日4月21日(水)から東京銀座にあるSteps Galleryでグループ展覧会「Art Cocktail 2021」が始まります。その展覧会にセルビアのアーティスト、イレーナ・クズマノヴィッチ(Irena Kuzmanović)さんの作品が展示されます。
イレーナさんは、セルビアで活躍が期待されている若手アーティストの一人で、日本で作品をご紹介するのは今回が初めてです。
2019年の春に私がセルビアを訪れた時に、画家の故ミラン・トゥーツォヴィッチさんの紹介でイレーナさんと出会いました。イレーナさんは、とても優しく素敵な女性で、すぐに私をアトリエに招待してくれました。アトリエはベオグラードの中心から車で10分ほど離れたノヴィベオグラード地区にあります。イレーナさんはここで制作し、子供達に絵を教えるワークショップを開いているのだそうです。建物には中庭があり、薔薇の花が咲いていました。アトリエのお隣はケーキ屋さん。羨ましい環境です。小さいけれど一人で使うには程よい広さで、好きなものを置いてお気に入りの空間に仕上げたようです。
イレーナさんの作品は、水彩画が中心で、身近な人物や犬を書いています。自身の作品について次のように語ります。
「作品の中で、私は自分の人生を見せている。作品と作家の人生は、時に切っても切れない関係である」
イレーナさんは自身の幼少の頃の家族写真を作品の中で再現します。いくつかの写真を組み合わせて一つにしたり、同時に新しいイメージを創り出したり。タバコを手にした女性は彼女の母親であり、犬は愛犬。そして小さな少女は彼女自身。
人物にも犬にも表情が描かれることはありません。水彩のにじみがミステリアスな空気を放ち、観る人の想像力を掻き立てます。
是非イレーナさんの作品をご覧ください。
展覧会情報
12時ー19時(土曜日は17時まで)
Irena Kuzmanović/イレーナ・クズマノヴィッチ
【文/古賀 亜希子】写真家。成城大学芸術学科を卒業後、東京綜合写真専門学校にて写真を学ぶ。国内外で作品を発表。2009年、ベオグラードでの個展開催をきっかけにセルビアが大好きになり、セルビアと日本の文化交流展覧会を多数企画。イェレナ・イェレミッチ著『イェレナと学ぶセルビア料理』の企画・翻訳に携わるなど、 最近は専らセルビア料理を研究中!