My Serbia(マイセルビア)

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“百聞は一見に如かず” セルビアでの展示滞在記

【文/照沼 敦朗】

皆さん、はじめまして。美術家の照沼敦朗です。2023年10月末に、セルビア北部の都市ノヴィ・サドを主に10日間滞在しました。

目的は、EUの芸術文化事業「欧州文化首都」の関連プロジェクトとして、僕と、テキスタイルの作家で武蔵野美術大学准教授の鈴木純子さんで2人展を開催することでした。

展示DM

この展覧会を企画したのは、クセニアさん。ベオグラードでX Vitamin というギャラリーを運営しています。 2007年より、日本人アーティストをセルビアに積極的に紹介しています。共同企画者のヴェスナさんは、ノヴィ・サドでBel Art Galleryを運営。お二人とも、新進気鋭のアーティストを紹介するギャラリストとして活躍しています。

左から、僕、クセニアさん、ヴェスナさん、鈴木純子さん

セルビアに行くのは初めてで、インターネットでリサーチしたり、『地球の歩き方』などを読んだりして、多少知識を頭に入れて訪れたつもりでしたが、“百聞は一見に如かず”で、東欧のイメージが変わりました。

滞在は作品の展示搬入が中心だったのですが、空いた時間に観光することもできました。

今回は、商品レビュー風に、僕の独断セルビアレビューをご紹介します。 

展示会場となったアートエリアDistrict
驚いた点

その1

ヴォイヴォディナ現代美術館に行ったら、美術館の壁に落書きがたくさんあったこと。セルビアはストリートアートに寛容という事なのだろうか、街には至る所にグラフィティー(スプレー描き)がありました。

その2

アメリカ並みに外食では出てくる料理の量が多いと聞いたが、やはり多かった……。残した物を持ち帰り出来たので、昼食食べたら夕食は残り物で助かりました。

その3

紅茶には蜂蜜を入れること。これは美味しい発見!

ヴォイヴォディナ現代美術館の外壁
異文化だなと思った点

その1

驚いた点と似ていますが、セルビア人は時間にルーズかな。搬入作業が11時からと言ってもお昼過ぎになったり、待ち合わせは1時間遅れるなど、日本人は時間に正確なので、戸惑いました。

その2

ランチの時間に鈴木さんが折り紙を折っていると、ウェイターが折り紙を一枚くださいと言う。渡して、しばらくすると、折り紙で作った百合の花を持って来てくれました。意外と折り紙はセルビアでは浸透していたりして!?

その3

喫茶店に居る時間が長い!? 皆さん家族でお喋りしていたり、若者からお年寄りまで老若男女、アイスクリームやコーヒーを飲みながらよく喋ります。日本人より会話好きなんじゃないかなーと思いました。 

展示設営中
感動した点

その1

建築物がすばらしい! 諸外国の建築文化が融合していたり、旧ユーゴスラビア時代の建築物も残っていて、街の風景をぼ〜っと見ていても飽きませんでした。

その2

美術館、博物館のチケットが安い。「マティツァ・スルプスカ・ギャラリー」と「パヴレ・バリャンスキ記念コレクション」に行った時は、何かの記念日で無料と言われました。日本ではチケット料金の高さに美術家なのに美術館にそうそう行けない……。

その3

セルビアの人達は、親切で温かった。僕の作品はロールキャンバスに描いた2枚の作品とアニメーション作品を展示しました。しかし、ロールキャンバスを止めるガンタッカーがセルビアではそう簡単には手に入らず……。ヴェスナさんの旦那さんが何件もお店を回って釘やテープを用意してくれたり、クセニアさんはベオグラードで街案内をしてくれたり、他にもいろいろな出来事がありました。

展示風景

展示から観光まで大変お世話になりました。感謝感謝です。


【文/照沼 敦朗】1983年千葉県生まれ。2007年に多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業し、同年に映像制作会社に就職。2008年に離職。そこから制作に専念し美術作家としてのキャリアをスタートしています。主な展覧会に「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.08/社会を解剖する」(高松市美術館、香川、2019年)、「横浜トリエンナーレ2017」(赤レンガ倉庫、神奈川)、「VOCA展 2017 現代美術の展望-新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館、東京)。

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