My Serbia(マイセルビア)

セルビアを、もっと身近に。

スロボダン・ソティロフさんとの出会いと別れ

【文/古賀 亜希子

現在、Steps Galleryで開催中のギャラリーコレクション展。私は、2019年にセルビア人画家スロボダン・ソティロフ(1926-2015)さんのアトリエを訪れて撮影した、モノクロームの写真作品を展示しています。

今年はソティロフさんの生誕100周年ということで、セルビアでも回顧展が開催されていました。

私がソティロフさんと実際に会ったのは数える程度。けれど、お互いの芸術を通して、心と心で対話をすることができ、心に深く刻まれる出会いでした。

©Akiko KOGA

セルビアのおとぎ話(2019年)パンフレットより

第三話:「ソティロフさんとの再会」

2010年にもセルビアを訪れた。スカダルリヤで開催された展覧会に参加するためであった。会場で画家のスロボダン・ソティロフさんと出会い、滞在中に私は、ソティロフさんの肖像画のモデルとして、共和国広場の横にあるアトリエに何日か通うことになった。

ソティロフさんの制作は、真剣そのもので、私の心の奥に迫ってくる。二人の間は、どうしてもピリッとした緊張感に包まれる。

この時の肖像画は、実は完成していたのだが、どういうわけかソティロフさんはその場で渡さなかった。

「もう一度ここに来るように。そしたら完成させて、この絵をあなたにあげるから」

その約束は、果たされないものとなった。私はそれから10年もの間セルビアへは行かず、その間にソティロフさんは絵を塗りつぶしてしまう。肖像画は消えてしまった。

2019年に、遺されたアトリエを再び訪ねて撮影をした。あの時と同じ緊張感が私の心へ迫ってくる。描くこと、描かれること。撮ること、撮られること。それは、心の奥底を見ること、見られること。心と心のせめぎあいのようなものだ。

展覧会概要

ギャラリーコレクション展「夢」

会期:2026年9月7日(月) – 19日(土) 12時 – 19時 ※日曜日休廊、土曜日17時まで 

会場:Steps Gallery 東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル5階

展示作家:

ミラン・トゥーツォヴィッチ Milan TUCOVIĆ

ウテ・ザイフェルト Ute SEIFERT

佐藤 全孝 SATO Zenko

津田 亜紀子 TSUDA Akiko

古賀 亜希子 KOGA Akiko


【文/古賀 亜希子】My Serbia運営者。Tiki’s kitchen撮影、制作。成城大学文芸学部芸術学科を卒業後、東京綜合写真専門学校にて写真を学ぶ。2009年、ベオグラードでの個展開催をきっかけにセルビアが大好きになり、セルビアと日本の文化交流展覧会の企画をはじめ、セルビアの文化を広く日本に紹介している。近年では、セルビアの写真や映像を言葉と共に物語にして発表している。