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セルビアのワインツーリズム・後半【ぐるりセルビア暮らし旅・第3回】

【文・写真/酒井 貴子】

Zdravo!(こんにちは!)

前回の記事では、セルビアのワインツーリズムの概要についてご紹介しましたが、後半では、旅行者が個人でも廻れるアクセスの良い場所で、私が訪問したワイナリーを幾つかご紹介したいと思います。

ノビ・サドへ行く途中にあるフルシュカ・ゴーラやスレムスキ・カルロヴツィは、ベオグラードからバスや電車で行ける場所です。この周辺はとてもフラットな地形で、農業向きの土地としても知られています。ノビ・サドの観光協会もワイナリー生産者支援を積極的に行っており、以下のような特設ページもあるのでぜひ、見てみてくださいね!

Fruška gora フルシュカ・ゴーラ

私が今までで最も多く訪問したのがこのエリアのワイナリーです。

家族経営の小さなワイナリーもいくつもあり、宿泊して数日、色々と巡る楽しみ方もできるエリアです。ワイナリーの方々の大半が英語ができ、説明も丁寧で、セルビアワインの歴史や、それぞれのワイナリーのこだわりについて熱く語ってくれます。今回は以下2箇所をご紹介します。

① Podrum Šukac

ノビ・サドからドナウ川を渡ってすぐの場所にある、1854年創業、6世代に渡って続いてきた家族経営のワイナリー。こちらではテイスティングが選択でき、3種500rsd(ディナール)、5種 800rsd。その他フィンガーフード(チーズ、ハム、ソーセージ、オリーブ、パン、チョコレート等)も希望すれば1200rsdで事前予約可能です(金額は2023年時点)。現オーナーの祖父母が実際に住んでいたお部屋でテイスティングを楽しめます。150年の泥壁でできた家の壁紙はワインエチケット(ラベル)のデザインにもなっており、歴史を感じます。今回の訪問では、私は5種類のテイスティングを選択しました。白はグラシャック・ベリとソーヴィニヨンブラン、ロゼ、そして2種類のメルローを味わいました。ロゼは特にマスカットハンブルグとカベルネ・ソービニヨンからできており、前菜からお肉までも合わせられるような万能ワインでおすすめです。

② Porodična Vinarija Antonijević

5世代に渡りブドウ栽培とワイン生産を行ってきた老舗ワイナリー。このエリアは歴史的な影響を大きく受け、ワイナリーの運営も戦争や政治に左右されました。そういった大変な時を乗り越えて今に残るこちらのワイナリーでは、とても気さくなオーナー生産者のJovan Antonijevićさんがその歴史と共にワインについて丁寧に紹介してくれます。入口に1963と記載された通り、当時の原型を留めたユニークなワインセラー空間でテイスティングを楽しめる、カジュアルなスタイルもなんともいい。もちろん、その場でワインも購入できます。私はリースリング、ロゼ、プロブス2種類、そしてラキアを試飲させていただきました。プロブスはスカダルカとカベルネ・ソービニヨンの交配で、力強く、ブルーベリーやプラム的なしっかりめな味わいのワインです。

※写真は2022年に訪問した時のものです

Sremski Karlovci スレムスキ・カルロヴツィ

③ Vinarija Vinum

看板に日本語表記もある通り、とても親日的なワイナリー。8haの栽培面積を持ち、スパークリングワインを始め、白、ロゼ、赤そしてベルメットを生産しています。スレムスキ・カルロヴツィは前回も少し触れましたが、ベルメット(甘口のアロマティックワイン)が有名で、25種類以上ものハーブやスパイスなどを使用しマセレーション(発酵中のワインに果皮等を漬け込む手法)して造られたワインです。甘口で飲みやすいのですが、アルコール度数は高めなので、飲みすぎないようにご注意を。私は4種類のテイスティング500rsdとハムやチーズの盛り合わせ1500rsdをお願いしました。セルビアはなぜか泡の生産を行っているところが他国より少なめな印象ですが、こちらのスパークリングワインは100%グラシャック・ベリ使用で私も初体験。きめ細やかな泡で、白梅や柑橘系ニュアンスもあり、軽めボディで酸もほどほどにあり好みでした。またこちらのロゼはピノ・ノワール100%使用。ベルメットも2タイプあるので、ぜひ飲み比べしてみてください!

その他、訪問したワイナリーはまだまだあるのですが、今回はベオグラードから旅行者でもアクセスの良い3軒をご紹介いたしました!

また機会があれば、他エリアのワイナリーもご紹介したいと思います!


【文・写真/酒井 貴子 Takako Sakai】上智大学比較文化学部卒業後、ラジオ制作会社・出版社にて編集業務に携わる。2010年に半年間の世界一周一人旅へ。その際に初めてセルビアの地を踏むが、その後将来セルビアで生活するとは想像もつかなかった。震災を機に観光業へ転身。日本、東京、ハワイなどデスティネーションの観光マーケティング・PR業務に10年以上携わる。ご縁があり2022年2月からセルビアへ。セルビアの観光地・ズラティボルで現在、観光業に従事。ワインエキスパート。

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