My Serbia(マイセルビア)

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秋の青空市場で見つけた旬の野菜と果物【セルビア移住生活:第3回】

インジヤの市場

【文/小柳津 千早】

私が住むセルビアのインジヤという町には農産物や日用品を購入できる市場があります。広さはおよそ3300平方メートルで、50以上の屋台と店舗が並びます。営業日は毎週水・土曜日。お目当ての品を求めて多くの人で賑わいます。

市場で売られている野菜や果物はスーパーマーケットよりも新鮮で安く手に入ります。農家や仕入れ人からは旬の食材や調理方法を教えてもらったり、値段を安くしてもらったりと、買い物時のコミュニケーションも楽しみのひとつです。

秋が深まる10月下旬、市場で買い物をした時の様子を写真付きでご紹介します。

まず意外だったのが柿です。セルビアで売られていることは知っていましたが、秋の代表的な果物としてセルビアでも広く認知されているようです(スーパーでも売っていました)。ただ、セルビアでは栽培されておらず、スペインやイタリアからの輸入物です。セルビアでは“日本のりんご”という意味のJapanska jabuka(ヤパンスカ・ヤブカ)、もしくはそのままKaki(カキ)と呼ばれています。ほかにはぶどう、ざくろ、栗、みかんもありました。みかんは日本でお馴染みの温州みかんで、クロアチア南部のメトコヴィッチ周辺で生産されたものです。クロアチアのみかんは本当においしく、日本のものと全く引けを取りません。

訪れた日に一番目立ったのはカリフラワーでした。どうやら今が旬のようです。

バターナッツかぼちゃ。ポタージュにしたり、パイの材料として使います。写真の左はすりおろし器で細かくしたもの。最初はにんじんかと思いました。

セロリアック。スープに使います。日本では都内の高級スーパーでしか見たことがありません。

にんじん、パースニップ、イタリアンパセリのセット。スープ用です。

はちみつ専門屋台。ロイヤルゼリーが入ったものやプロポリスも。セルビアははちみつの種類が豊富で、しかも安いのでとてもうれしいです。日本に住んでいた時、国産はちみつは高価で手が届かず、セルビア人の妻は「大しておいしいわけじゃないでしょ」と試したことがないのにいつも怒っていました。同時にセルビア産はちみつ信者でした。確かにこちらのはちみつは本当においしいですが……。ちなみにセルビアの薬局にはプロポリスののどスプレーが売っていて、のどが痛い時に使えばあっという間に治ってしまいます。

写真はありませんが、マッシュルームやヒラタケなどのきのこ類、プラム、レーズン、クランベリーなどのドライフルーツ、ナッツ類も売っていました。少し気になったのは輸入物が多くなってきたこと。トマトやりんごはセルビアでよく生産されていますが、近年は輸入物も見られるようになりました。多様な品種があるのは消費者にとってはいいことですが、地元の農家の人たちはどう思っているのでしょうか。いつか話を聞いてみたいと思います。

最後に、この日に買ったものです。全部で4000円ぐらいです(はちみつ3つ1500円分を含む)。日本と比べるとかなり安いですね。

思い出したことをひとつ。こちらの人はぶどうを皮も種も一緒に食べます。皮がうまいんだと教えてくれましたが、種は苦いんですよね。りんごは人それぞれです。きゅうりは皮を剥いて食べます。セルビアのきゅうりはずんぐりしてて皮が厚いです。

今度はスーパーマーケットで調査してみようと思います。


【文/小柳津 千早(おやいず ちはや)】大学卒業後、セルビア語を学ぶためベオグラードに留学。そこで日本語学科に通う学生と出会い、無職の身でプロポーズをして見事成功。現地で約350人の前で結婚式を挙げる。帰国後、スポーツメディア関連会社に3年半、在日セルビア共和国大使館の通訳として10年間勤務。2021年10月中旬からセルビアに移住。YouTubeチャンネル「セルビア暮らしのオヤ」で現地の自然、文化を配信中。

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