【文/小柳津 千早】
サッカーJ1の名古屋グランパスで選手・監督として活躍したドラガン・ストイコヴィッチ氏(愛称:ピクシー)が3月3日、セルビア代表監督に正式に就任しました。ストイコヴィッチ監督はこれまで名古屋、中国の広州冨力といったクラブで指揮を執ったことはありますが、代表チームを率いるのは初めてのことです。
就任発表から2日後の3月5日、ストイコヴィッチ監督は2022年ワールドカップ(W杯)・カタール大会の欧州予選に臨むメンバー30名を発表しました。同監督は「スタッフとともに真剣に熟考して選んだ30名。今回選ばれなくても、代表チームに入れるだけの素質を持った選手は多くいる。誰にも門戸は開かれている。マティヤ・ナスタシッチ(シャルケ/ドイツ)とミヤト・ガチノヴィッチ(ホッフェンハイム/ドイツ)に関しては、けがのため選出外となった」と話しました。
また、同監督はテレビ局「アレナスポルト」のインタビューに応じ、「サポーターは代表チームに対して信頼を失いつつある。(欧州選手権のプレーオフの)スコットランド戦に敗れたことは大きな衝撃だった。しかし、敗戦から学ばなければいけない。選手たちは自国のためにプレーすることに大きなモチベーションを感じているが、試合によってはその気持ちが前面に出ないこともあった。代表に呼ばれた選手は勝利のために最大限の力を発揮する必要がある。私が目指すサッカーは、アトラクティブで、ダイナミックで、リスキーだ。サポーターもそれを望んでいるはずだ」とチームの変革に大きな意欲を見せました。
セルビア代表は今月24日にW杯予選の初戦となるアイルランド戦、27日にポルトガル戦(いずれもホーム)、30日にアゼルバイジャン戦(アウエー)に臨みます。
なお、セルビア代表のフィットネスコーチは日本人の喜熨斗(きのし)勝史氏が務めます。同氏はストイコヴィッチ監督の下で長年一緒に仕事をしてきました。同監督は先日、セルビア国営放送の番組に出演したときに「私が監督としてのキャリアをスタートした時からよく知る仲。何も問題ない。コーチのオファーを出したときは驚いていたけどね」と語り、厚い信頼を寄せていることを明かしました。今後のセルビア代表に注目したいと思います。
メンバーは以下の通り。
GK:
プレドラグ・ライコヴィッチ(スタッド・ランス/フランス)
マルコ・ドミトロヴィッチ(エイバル/スペイン)
ジョルジェ・ニコリッチ(バーゼル/スイス)
DF:
ステファン・ミトロヴィッチ(ストラスブール/フランス)
ニコラ・ミレンコヴィッチ(フィオレンティーナ/イタリア)
ウロシュ・スパイッチ(フェイエノールト/オランダ)
ミロシュ・ヴェリコヴィッチ(ブレーメン/ドイツ)
ストラヒニャ・パヴロヴィッチ(セルクル・ブルージュ/ベルギー)
マルコ・ペトコヴィッチ(TSC/セルビア)
ミラン・ガイッチ(ツルヴェナ・ズヴェズダ/セルビア)
フィリプ・ムラデノヴィッチ(レギア・ワルシャワ/ポーランド)
MF:
ミハイロ・リスティッチ(モンペリエ/フランス)
サシャ・ルキッチ(トリノ/イタリア)
ウロシュ・ラチッチ(バレンシア/スペイン)
ネマニャ・マクシモヴィッチ(ヘタフェ/スペイン)
ネマニャ・グデリ(セビージャ/スペイン)
ネマニャ・ラドニッチ(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
ドゥシャン・タディッチ(アヤックス/オランダ)
ネナド・クルスティチッチ(AEK/ギリシャ)
セルゲイ・ミレンコヴィッチ-サヴィッチ(ラツィオ/イタリア)
フィリプ・ジュリチッチ(サッスオーロ/イタリア)
ダルコ・ラゾヴィッチ(ヴェローナ/イタリア)
マルコ・グルイッチ(ポルト/ポルトガル)
イヴァン・イリッチ((ヴェローナ/イタリア)
アンドリヤ・ジヴコヴィッチ(PAOK/ギリシャ)
フィリプ・コスティッチ(フランクフルト/ドイツ)
FW:
アレクサンダル・ミトロヴィッチ(フラム/イングランド)
ルカ・ヨヴィッチ(フランクフルト/ドイツ)
ドゥシャン・ヴラホヴィッチ(フィオレンティーナ/イタリア)
ジョルジェ・デスポトヴィッチ(ルビン・カザン/ロシア)
※写真はセルビアサッカー協会から許可を得て掲載しています
【文/小柳津 千早】大学卒業後、セルビア語を学ぶためベオグラードに留学。そこで日本語学科に通う女性と出会い、無職の身でプロポーズをして見事成功。現地で400人の前で結婚式を挙げる。帰国後、スポーツメディア関連会社に3年半勤務。現在はセルビア共和国大使館で通訳として働く。休みの日は妻と子供2人で公園を散歩するのが好き。