【文/古賀 亜希子】
本日12月3日より、日本で初めてのレトルト食品「ムチュカリッツァ」(豚肉のパプリカ煮)の販売が開始されました。
My Serbiaが誕生したのはちょうど一年前。2020年12月のことでした。新型コロナウイルスが世界に蔓延して、今までのように外国へ自由に渡航できない厳しい環境の中、新しい形でセルビアを楽しむことができないかという発想のもと、私たちは結成しました。
一番初めに目標にしたのは「レトルト食品を作ること!」
これまで私たちは、個人で料理教室を開催したり、セルビアの食をプロモーションしたりすることに関わってきましたが、コロナの影響でセルビア料理の魅力を直に伝える機会はしばらく持てそうにありません。それならば、直接皆さまの食卓にセルビア料理を届けましょう!
セルビアにはおいしい料理がたくさんあります。どれを商品化するのか悩みましたが、今年2月にNHKの料理番組「今日、うちでなに食べる?」で俳優の中村倫也さんがムチュカリッツァを作って大きな話題になりました。ムチュカリッツァは観光パンフレットに必ず掲載されるほどの伝統料理であり、日本人観光客の間でも人気No.1。きっと日本でも愛されることでしょう!
メニューが決まった後は、製造・販売していただく会社探しです。ちょうどその頃、世界の料理がブームになり、特にジョージア料理「シュクメルリ」が大人気でした。私の故郷・福岡市にある松原食品株式会社がとびきりおいしいシュクメルリのレトルト食品を製造していたので、企画書を作成して連絡を取ることに。ありがたいことに二つ返事でご承諾いただき、シュクメルリの火付け役となった奈良原一平専務にムチュカリッツァを担当していただくことになりました。
それからは試行錯誤の連続です。少しでも本場の味に近づけるため、Tiki’s kitchenのティヤナがムチュカリッツァ誕生の地、セルビア南部レスコヴァツのレシピを研究。いつもそうですが、ティヤナはいくつものレシピを確認しながら、自分が満足する味を見つけます。ティヤナが実際に調理したものを福岡に郵送して、松原食品がサンプルを作って私たちに送り返します。今回、多くの意見を取り入れるために味の監修をセルビア共和国大使館にお願いしました。大使館職員の皆さまからは様々なアドバイスをいただきました。例えば「もっと辛くした方がいい」「肉と野菜を多くした方がいい」などです。ただ、レトルトという特性上、製造工程で具材が溶けてしまったり、コストがかかったりと、一筋縄にいかないこともありました。それでも最後はようやく全員が「おいしい!」と納得する味になり、今回の発売へと至りました。まさに、私たちが一丸となって作り上げたレトルト食品です。
最後に、奈良原専務をはじめとする松原食品の皆さまに心からお礼を申し上げたいと思います。日本にいながらセルビアの食文化を少しでも知ってもらいたい、という気持ちで私たちに寄り添ってくださいました。会社の資料には「食を通じて皆様の心と身体を温め、世界と家庭をつなぐ架け橋を目指します」と書いてありますが、まさにその言葉通りでした。きっとこのレトルト食品も皆さまの心と身体を温めてくれると信じています。ぜひ、ご家庭でセルビアの味をお楽しみください。
購入情報
Yahoo! ショッピング、ヨドバシ.com 、全国のスーパーマーケットなど
関連情報
レシピを考案したティヤナが出演する!フジテレビのYouTube料理番組「World Buzz Cooking」は今夜から配信!
セルビア編 #1 ー 12月3日(金)20時
セルビア編 #2 ー 12月10日(金)20時
セルビア編 #3 ー 12月17日(金)20時
セルビア編 #4 ー 12月24日(金)20時
【文/古賀 亜希子】写真家。成城大学芸術学科を卒業後、東京綜合写真専門学校にて写真を学ぶ。国内外で作品を発表。2009年、ベオグラードでの個展開催をきっかけにセルビアが大好きになり、セルビアと日本の文化交流展覧会を多数企画。イェレナ・イェレミッチ著『イェレナと学ぶセルビア料理』の企画・翻訳に携わるなど、 最近は専らセルビア料理を研究中!