My Serbia(マイセルビア)

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セルビアのレトルト食品から学ぶ国際社会【SERBIA×英和PROJECT】

【文/SERBIA×英和PROJECT】

Dobar dan(こんにちは)! SERBIA×英和PROJECTです。

7月も後半になり、蒸し暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか?こういう時こそピリっと辛いムチュカリッツァはいかがでしょうか。手作りももちろん良いですが、セルビア大使館監修のレトルト食品があるのはご存じですか?

2022年はセルビアと日本の友好140周年記念の年です。その記念食品として、セルビア料理のレトルト食品を開発したのは、福岡市に拠点をおく創業77年の松原食品株式会社です。7月7日、同社で大使館との連携プロジェクトをご担当されている奈良原一平専務が東洋英和女学院大学横浜校地にいらっしゃいました。

本学の町田小織講師(国際社会学部国際社会学科)が担当する「国際社会基礎ゼミナールⅠ」の学生を前に、約1時間にわたりご講演。時折、リアルな本音も交えながら、食品業界のお話を聴けたのはとても貴重でした。さらに、大使館とコラボしたレトルト食品誕生のいきさつについてもお話を聴くことができました。

当日は7月20日発売の「パプリカシュ」(セルビア大使館監修レトルト食品第2弾)を一足早く披露。発売前の商品を手にし、学生たちは興味津々です。やはり実際に担当した方から対面でお話を聴くこと、そして現物を直に触って確認することの重要性を実感します。奈良原専務はパッケージにこだわり、高級感のある外装を決めてから、それに負けない中味を検討したそうです。

ここで、ムチュカリッツァとパプリカシュのパッケージを見比べてみてください。何か気がつくことはありませんか?

そうです!ムチュカリッツァには「セルビア料理」と書いてありますが、パプリカシュには「セルビア」と記されています。これはなぜでしょうか?

パプリカシュという料理は、セルビア北部のヴォイヴォディナ地方の伝統料理なのですが、隣国ハンガリーやクロアチアでも食されています。つまり、ハンガリー料理、クロアチア料理でもあるわけです。それゆえ「セルビア料理」と限定することはできません。料理のような文化は国境で線引きができないのです。ムチュカリッツァは他国ではあまり食べられていないので、「セルビア料理」と記載しても問題ありませんが、パプリカシュは同様には扱えないのだそうです。パプリカシュを「セルビア料理」としてしまうと、他国に対して失礼になってしまうとのこと。料理を通じて歴史、文化、国際関係を学べるのだと感じた瞬間です。

今では、「おうちで旅する世界の絶品グルメ」シリーズを展開している松原食品ですが、もともとは九州・山口エリアで麺に関わるスープの製造がメインでした。そんな福岡の老舗メーカーが世界に目を向け、ムチュカリッツァのレトルト食品が誕生したのは、あるきっかけからでした。

2019年、大手牛丼チェーンが東欧ジョージア(旧グルジア)の料理シュクメルリをもとにした「シュクメルリ鍋定食」を販売し、大きな話題となりました。この時、この話題性を一過性のものに終わらせたくないという強い想いを持った人がいました。駐日ジョージア大使である特命全権大使ティムラズ・レジャバ閣下です。実は、大使と奈良原専務は昔の会社の同期。その関係もあって、大使の強い想いを受けた奈良原専務は、シュクメルリをレトルト食品として開発することを決意します。

そもそも、レトルト食品のノウハウがない中でいきなり世界料理に挑戦という問題もあったそうですが、発売にこぎつけると、シュクメルリのレトルト商品化は反響を呼び、フジテレビの「めざましテレビ」や毎日新聞など多数のメディアで取り上げられました。

さらに、My Serbiaとセルビア大使館からセルビア料理のレトルト商品化の依頼が来たのです。奈良原専務は大使館の全面協力を条件として引き受け、10回以上試作を重ねました。最終的に、大使館のお墨付きを得ることに成功し、ムチュカリッツァのレトルト食品が誕生しました。

新しいことに挑戦し、成功を収めることができたのは“同期”という繋がりがあったからこそ。奈良原専務は人脈の大切さを実感されたそうです。最後に、奈良原専務から学生へ、「学生時代から国際感覚を養うことが大切。多くの人と交わり、経験を積んでほしい」とアドバイスが送られました。

奈良原専務のお話を聴いた学生から、以下のような感想がありました。

「直接会社の方からお話を聞く機会が初めてだったため、とても貴重な経験ができたと感じました。食品に限らず、何かを商品化するには、開発から改善を重ねてやっとの思いで出来上がるという、様々な苦労があることを知りました」。

7月20日発売の「パプリカシュ」、ムチュカリッツァと合わせてご賞味ください!

次回もお楽しみに!

文責:鈴木 葉月


【文/SERBIA×英和PROJECT】

<プロジェクト・メンバー> 2022年6月12日現在

4年生:鈴木 葉月

3年生:関 美裕、福濱 美優

2年生:笹本 真愛、曽根岡 彩花、中澤 すみれ、松原 莉沙

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